「診療報酬改定説明会」の報告

 

 

日 時
平成30年3月13日(火)13時~16時
会 場
 ワールド記念ホール(神戸ポートアイランドホール)
共 催
(一社)日本病院会、(一社)全国公私病院連盟
後 援
(一社)兵庫県病院協会・(一社)兵庫県民間病院協会
講 師
厚生労働省保険局医療課 堤 雅宣 主査
報告者
岡山県病院協会 医事業務委員会
難波 龍鋭 委員(高梁中央病院)
横山 尚平 委員(さとう記念病院)

 

 去る3月13日(火)、「ワールド記念ホール」にて一般社団法人日本病院会並びに一般社団法人全国公私病院連盟の共催による「診療報酬改定説明会」が開催され、病院協会から医事業務委員6名が参加した。

その要点を以下にまとめる。

 

〈平成30年度診療報酬改定の概要〉

Ⅰ 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

Ⅱ 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

Ⅲ 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化

Ⅰ 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進 

1.医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
  •   <一般病棟入院基本料等の評価体系の見直し>
    ① 一般病棟入院料
    ・一般病棟入院基本料(7対1、10対1、13対1、15対1)について再編・統合し、新たに、急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料とする。また、急性期一般入院基本料の段階的な評価については、現行の7対1一般病棟と10対1一般病棟との中間の評価を設定する。

    ② 地域包括ケア病棟入院料
    ・基本的な評価部分と在宅医療の提供等の診療実績に係る実績部分を組み合わせた体系に見直すとともに、在宅医療や介護サービスの提供等の地域で求められる多様な役割・機能を果たしている医療機関を評価する。

    ③ 回復期リハビリテーション病棟入院料
    ・回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系にリハビリテーションの実績指数(回復期リハビリテーション病棟における1日あたりのFIM得点の改善度を、患者の入棟時の状態を踏まえて指数化したもの)を組み込む。

    ④ 療養病棟入院基本料
    ・20対1看護職員配置を要件とした療養病棟入院料に一本化することとし、医療区分2・3の該当患者割合に応じた2段階の評価に見直す。
    ・現行の療養病棟入院基本料2(25対1看護職員配置)については、医療療養病床に係る医療法上の人員配置基準の経過措置の見直し方針を踏まえ、療養病棟入院料の経過措置と位置付け、最終的な経過措置の終了時期は次回改定時に改めて検討することとし、経過措置期間をまずは2年間とする。

  •   <DPC制度(DPC/PDPS)の見直し>
    ① 調整係数の廃止(置き換え完了)に対応した医療機関別係数の整備
    ・平成24年度改定から実施した調整係数置き換えを完了し、今後の安定した制度運用を確保する観点から医療機関別係数の再整理を行う。

    ② 算定ルールの見直し
    ・DPC対象病院で短期滞在手術等基本料に該当する患者の報酬算定について、DPC/PDPS・点数設定方式Dにより算定

    ・一連の入院として取り扱う再入院の傷病名を整理(前入院の傷病名・合併症と再入院病名との関係についての見直し)

    ③ その他(通常の報酬改定での対応)
    ・直近の診療実績データ等を用いた診断群分類点数表の見直し等、通常の報酬改定での所要の対応を実施

2.外来医療の機能分化、かかりつけ医の機能の評価
  • ① 病床数500床以上を要件としている診療報酬の取扱いの見直し
    許可病床数500床以上を要件とする診療報酬について、当該基準を400床に変更する。

     [対象]      
      ・初診料及び外来診療料      
      ・在宅患者緊急入院診療加算      
      ・地域包括ケア病棟入院料
    ② かかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ている医療機関において、専門医療機関への受診の要否の判断等を含めた、初診時における診療機能を評価する観点から、加算を新設する。      
    初診料      
    小児かかりつけ診療料(初診時)      
    (新) 機能強化加算    80点


3.入退院支援の推進
  • ① 入院前からの支援を行った場合の評価を新設
    (新) 入院時支援加算  200点(退院時1回) ② これまでの退院支援加算については、入院早期から退院直後までの切れ目ない支援を評価していることから、名称を「入退院支援加算」に見直す。

4.質の高い在宅医療・訪問看護の確保
  • ① 医療的ケアが必要な小児が学校へ通学する際に、訪問看護ステーションから訪問看護についての情報を学校へ提出した場合の評価を新設する。 (新) 訪問看護情報提供療養費2  1,500円  
    ② 訪問看護ステーションが利用者に対して喀痰吸引等を行う介護職員等と連携した場合の評価を新設する。(新) 看護・介護職員連携強化加算  2,500円

5.医療と介護の連携の推進
  • ① 維持期・生活期リハビリテーションに係る見直し      
    要介護・要支援被保険者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリテーション料について、経過措置を1年間に限り延長。

    ② 医療・介護間でのリハビリテーションに係る情報共有の推進
    ・新しく設けた共通様式を使用して、医療機関から介護保険のリハビリテーション事業所に情報提供した場合の評価を新設。

    (新) リハビリテーション計画提供料1  275点

    ・介護保険の「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業(VISIT)」で活用可能な電子媒体で、計画書を提供した場合の加算を設ける。

    (新) 電子化連携加算  5点



Ⅱ 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

  • 1.重点的な対応が求められる医療分野の充実    
    1)小児・周産期医療、救急医療の充実
    ・妊婦の外来診療について、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する観点から、初診料等において、妊婦について診療を行った場合に妊婦加算を新設する。     
    初診料 (新)妊婦加算(時間外/休日/深夜)75点(200点/365点/695点)等     
    再診料・外来診療料 (新)妊婦加算(時間外/休日/深夜)38点(135点/260点/590点)等    

    2)緩和ケアを含む質の高いがん医療等の評価
    ・がん患者の治療と仕事の両立の推進等の観点から主治医が産業医から助言を得て、患者の就労の状況を踏まえて治療計画の見直し・再検討を行う等の医学管理を行った場合の評価を新設する。       
    (新) 療養・就労両立支援指導料  1,000点    
    ・専任の看護師等が、がん患者に対し、就労を含む療養環境の調整等に係る相談窓口を設置した場合の評価を設ける。       
    (新) 相談体制充実加算       500点    

    3)認知症の者に対する適切な医療の評価
    ・地域において認知症患者の支援体制の確保に協力する認知症サポート医が行うかかりつけ医への指導・助言について評価を設ける。
    (新) 認知症サポート指導料  450点(6月に1回)    
    ・認知症サポート医の助言を受けたかかりつけ医が行う認知症患者の医学管理について、評価を新設する。
    (新) 認知症療養指導料2   300点(月1回)(6月に限る)       
    (新) 認知症療養指導料3   300点(月1回)(6月に限る)    

    4)地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価
    ・措置入院患者に対して、自治体と連携した退院支援を実施した場合の評価を新設する。       
    (新)精神科措置入院退院支援加算  600点(退院時)    

    5)感染症対策や薬剤耐性対策、医療安全対策の推進
    ・薬剤耐性(AMR)対策の推進、特に抗菌薬の適正使用推進の観点から、抗菌薬適正使用支援チームの組織を含む抗菌薬の適正使用を支援する体制の評価に係る加算を新設。      
    感染防止対策加算       
    (新) 抗菌薬適正使用支援加算  100点(入院初日)   
    ・医療安全対策加算に医療安全対策地域連携加算を新設するとともに、既存の点数について見直す。
    医療安全対策加算
    (新) 医療安全対策地域連携加算           
    イ 医療安全対策地域連携加算1  50点(入院初日)           
    ロ 医療安全対策地域連携加算2  20点(入院初日)  

  • 2.先進的な医療技術の適切な評価と着実な導入    
    1)遠隔診療の評価
    ・情報通信機器を活用した診療について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性への配慮を含む一定
    の要件を満たすことを前提に、オンライン診療料を新設する。
    (新) オンライン診療料  70点(1月につき)



まとめ    
地域医療構想の策定が進み、(多くの都道府県で)(岡山県においても)急性期病床の過剰、回復期病床の不足傾向が明らかになっており、これらの背景のもと、急性期病床の削減や、患者を「施設」から「地域」へ、「医療」から「介護」へという大きな流れが着実に進んでいる。
急性期機能に関しては、医療・看護必要度の引き上げ、在宅復帰率の基準引き上げなど、医療の質を評価した改定内容となっている。回復期機能に関しては、地域包括ケアシステムの構築のため、地域包括ケア病床に有利な報酬設定がなされ、急性期病床からの転換を意図した改定内容となっている。慢性期機能に関しては、医療区分の見直しなどにより、療養病床ではより医療必要度の高い患者を受け入れることが求められるようになっており、医療必要度の低い患者については在宅への流れを意図した改定内容となっている。その他にも、医療機関間の連携推進・外来かかりつけ医機能の強化・医療従事者の負担軽減など、前回改定から引き続き評価の充実が図られた。
2018年には診療報酬・介護報酬のダブル改定、第7次医療計画・第7次介護保険事業計画のスタートなど、2025年に向けた重要イベントが集中しており、これらの傾向を注視しながら、2020年度改定を踏まえて、自院の機能と役割を明確にし、今後の戦略を検討・再整理することが重要であると感じられた。