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 ナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner)
H21.8月号
 略してNPという。
 医療従事者の一つで、大学院において専門的な教育を受け、比較的安定した状態にある患者を主たる対象として、自律的に問診や検査の依頼、処方等を行なうことが認められた看護師のこと。米国で医師不足が懸念された1960年代に養成が始まり、90年代に医療の質の高さや医療経済的な面から評価が広まった。免許保持者は現在14万人に上るという。
 米国ではNPは、医師がいない過疎地での医療に貢献しており、米国では医療費が高額なこともあって低コストで必要な医療サービスを供給するシステムとして活躍している。
NPの専門領域は全ての州で認められているウイメンズヘルス(女性の健康)、小児、高齢者、精神、急性期の5つの領域のほか、救急、家族、新生児などの領域がある。
 日本では2008年現在、医師法により医師・歯科医師以外による診断や投薬などは認められていないが、2008年4月に大分県立看護大学大学院の博士前期課程において、老年及び小児のNPの養成教育が始められている。
 しかし、大分県の大学と病院が“NP特区”を申請したところ厚生労働省が、「患者に危害を及ぼす」恐れがあると却下した。


 二段階認証と二要素認証
R3.6月号
 Web上の個人認証は、パスワードを用いる方法が一般的です。しかし、最近ではパスワードのみによる認証だけでは安全性が担保できない状況にあります。そこで、認証方式として登場したのが、二段階認証や二要素認証と呼ばれる認証です。
 二段階認証とは「二つの段階を経て認証を行う」ことを指します。複数の段階で認証を行うことによって、認証を破られる確率が乗算的に低くなります。
 例えば、パスワードに加え、秘密の質問による認証も組み合わせれば、ある程度、認証突破のリスクを低減できます。
 次に、最近の主流である二要素認証。こちらは「異なる二つの要素を組み合わせて行う認証」のことです。一般的に採用されることが多いのは、パスワードに加え、所有要素(スマホ、社員証など)もしくは生体要素(指紋、静脈など)を組み合わせるものです。二要素認証の場合は、二段階認証の組み合わせのように、ただ単に「知っている」だけでは認証が成功せず、「持っている」ことや「身体的特徴」の提示が必要となるため、より厳密に個人を識別できます。
 例えば、Webサイトにログインする際に、パスワードで認証を行います。その認証後に自分のスマホに送付される“ワンタイムコード”を入力して認証をします。この場合、ログイン時のパスワードは「知っている」、スマホを用いることは「持っている」に該当し、二つの要素を用いるため、二要素認証ということになります。
 面倒に思うことも多い「個人認証」ですが、安心して便利なWebサービスを利用するために大切なものです。


 2025年の崖
R2.2月号
 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、既存ビジネスから脱却して、デジタル技術の活用によって新たな価値を生み出すことで、複雑化・ブラックボックス化した従来型のレガシーシステムがDXの実行を妨げていることを問題視したキーワードです。
 レガシーシステムとは、企業の基幹システムのベースとなっていることが多いメインフレーム(汎用コンピュータ)を利用されて構築したシステム等を指します。これらは各ベンダーの独自技術によって構築された独自の仕様であることが多く、長年にわたって機能の拡張が何度も繰り返された結果、 システムが肥大化し、管理者がいなくなってしまっているケースも少なくありません。膨大なデータに影響が出ることを恐れてシステムの刷新を図ることができないというのが、多くの企業の現状なのでしょう。
 しかし、保守や運用が属人化したレガシーシステムを維持するには高いコストがかかるので、いずれはDXに踏み切らなければなりません。
 経済産業省の2018年に公表したDXレポートで様々な指摘がされています。そのレポートでは、2025年までにDXを達成できなければ最大12兆円の経済損失が毎年発生すると試算されています。一方、DXを実現できた場合は、2030年に実質GDPが130兆円超に押し上がる可能性があるといい、2025年は経済停滞に向かうか変革に向かうかの分岐点といえます。


 にも包括
R6.2月号
  「にも」と言うと、ディズニーのかわいい魚をイメージするかもしれませんが、精神科関連の分野で「にも」といえば「にも包括」。正式には「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を指します。
 「にも包括」は、精神障害の有無にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加(就労など)、地域の助け合い、普及啓発(教育など)が包括的に確保されたものとされています。
 なぜ「精神障害に」ではなく、「精神障害にも」なのか。本来であれば、「地域包括ケアシステム」には精神障害者のケアやメンタルヘルスケアも含まれているべきですので、わざわざ「精神障害にも」といわなくてもいいはずです。しかし、今の法律や制度では、精神保健や精神医療の施策が必ずしも地域保健法や社会福祉法、医療法などに規定される各種施策と一体となっていないという現状があります。
 精神的不調や精神障害を抱えた方を別扱いすることなく、精神障害「にも」対応していくことが重要ということで、少し回りくどい、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」という名称になりました。
 将来的には、「精神障害にも」とわざわざ言わなくても、精神保健医療福祉上のニーズに当たり前に対応する地域となることを目指しているということです。


 ニューノーマル
R3.2月号
 ニューノーマルとは、直訳すると「新常態」。社会に大きな変化が起こる転換期を指し、事態が収束しても以前の姿には戻れず、新たな常識が定着することを意味します。まさに2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルスにより私たちの社会には大きな変化がもたらされ、従来の生活様式や働き方に対する変革が現在進行形で行われています。
 過去にもニューノーマルと呼ばれた大きな転換期は存在しました。1回目は、2000年代前半におけるインターネット社会の到来。2回目は、2008年に世界的な不況をもたらしたリーマンショックです。今や老若男女問わず生活にもビジネスシーンにも根付いたインターネット、そしてリーマンショックの爪痕深く続く不況、格差の拡大、変化した人々の価値観。2度のニューノーマルを経て変化したこれらの常識は、今の私たちの社会、生活、価値観に繋がっていることが分かります。
 今回も同様に、たとえコロナが収束しても、社会が完全にビフォーコロナに戻ることはないと考えられます。特にオンライン会議やリモートワークなどは、これからの時代の働き方の常識として引き継がれていくでしょう。ビフォーコロナを振り返るのではなく、いつになるか分からないアフターコロナを待ち望むのでもなく、ウィズコロナとして、私たちはニューノーマルな考え方をもって変化に対応していかなければなりません。


 任意後見制度
H27.12月号
 任意後見制度とは、本人が適切に判断できるうちに、将来判断能力が不十分になるときに備えて、自分の代わりに財産管理や契約締結をしてくれる人を任意後見人として選び、任意後見契約を結んでおく制度です。任意後見人には、身内以外の友人(破産者や本人に対して訴訟を提起したことがある人、不正行為をしたことがある人はなれない。)や、弁護士や司法書士といった法曹関係者や社会福祉法人などを選ぶことも可能です。
 契約内容は、法律の趣旨に反しない限り、お互いの合意があれば自由に決めることができます。もし本人の判断能力が低下した場合は、裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと、任意後見人が任意後見契約で決めた事項を行います。任意後見契約を結んだものの、判断能力が一生低下しなかった場合は、制度を使わないこともあります。
 任意後見人の役割の一つに、本人が安心して暮らせるように、介護や生活面の手配をすることが挙げられます。そのなかには、要介護認定の申請、介護事業所・施設や医療機関との契約の締結、費用の支払などが含まれます。
 認知症患者のさらなる増加が見込まれるなか、地域で安心して暮らしていくには、医療・介護サービスの提供体制、犯罪等に巻き込まれないようにすることなど、さまざまな面からサポートしていくことが重要と思われます。


 認知症本人大使(希望大使)
R2.4月号
 2020年1月20日、認知症の当事者組織である日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)の代表理事など男女5名に「認知症本人大使(希望大使)」の任命書が橋本厚生労働副大臣から手渡された。
 2019年6月に策定された政府の認知症施策推進大綱に、普及啓発の一環として「認知症本人大使」を創設することで本人による「認知症とともに生きる希望宣言」の普及活動を支援することが盛り込まれていた。この宣言は、
  • ①自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
  • ⑤認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒に作っていきます。
など5項目が謳われている。
 いつ、自分や家族が発症するか分からないし、認知症の家族を抱えて大変な方もおられるだろう。しかし、認知症にかかったらおしまいというようなイメージを払拭し、希望を持ちながら前向きに歩んでいく姿や声を社会に示していく方々の活動は、世の中に希望を与えると思う。今後の希望大使の活躍に期待したい。


 認知療法・認知行動療法
R1.11月号
 認知療法・認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。
 私たちは、自分が置かれている状況を絶えず主観的に判断し続けています。これは、通常は適応的に行われているのですが、強いストレスを受けている時やうつ状態に陥っている時など、特別な状況下ではそうした認知に歪みが生じてきます。その結果、抑うつ感や不安感が強まり、非適応的な行動が強まり、さらに認知の歪みが引き起こされるようになります。悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をして、いま現在の問題に対処していけるように手助けします。
 認知療法・認知行動療法は、欧米ではうつ病や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害など)、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患に効果があることが実証されて広く使われるようになってきました。
 日本でも2010年4月の診療報酬改定で保険点数化され、精神疾患治療の1つの選択肢として拡がりを見せています。


 認定看護師制度
H16.10月号
 特定の看護分野(15分野)において熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践ができ、現場において実践指導・相談の役割を果たすことのできる看護師を認定する制度。
 1995年に日本看護協会認定看護師制度がスタートし、一定の実務経験(5年以上)がある看護師が、認定教育課程(6ヶ月 600時間以上)を終了し、認定審査(書類審査・筆記試験)を経て認定・登録(5年ごとに更新審査)される。
 看護は専門職でありながらジェネラリストを養成してきた歴史を持っている。しかし、患者さんのニーズが複雑・多様化し、高度になっている臨床現場にとってスペシャリストの存在が必要不可欠となってきている。近年の医療機能評価などが追い風となり年々関心が高まってきている。
 現在全国に1,256人、県内に19人の認定看護師がいる。
 他により高度な看護能力を認定する専門看護師制度や、日本精神科看護技術協会の認定制度もある。


 ノーマライゼーション
H15.12月号
 たとえその人が障害を有していたとしても、普通の人と同じように、地域において普通に暮らしていく、それがノーマライゼーション理念の目指すものです。このノーマライゼーションの考え方は、1950年代にデンマークやスウェーデンといった北欧諸国の知的障害福祉分野から始まりましたが、現在では、広く福祉の基本理念として理解されるようになってきました。

 障害のある人たちを特別な施設に囲い込むのではなく、地域の中で普通に暮らしていくことを支援していくのであれば、バリアフリーの考えも重要です。この場合、バリア(障害物)とは、ただ建物等における物理的障壁を意味するのではありません。社会的制約や人々の意識等についても見逃せません。さらに近年、障害のあるなしに関わらず、誰にとっても使いやすいものを、ということでユニバーサルデザインの考え方が注目を集めるようになってきております。

 高齢社会の進展とは、いわば障害老人が増えていくことを意味します。ノーマライゼーション理念のもと、地域の中で、誰もが普通に暮らしていけるよう、福祉社会の実現が急がれます。


 ノロウィルス
H17.2月号
 吐き気、おう吐、腹痛、下痢、発熱などを発症させるウィルスの1種。

 最近近県の特別養護老人ホームで集団で下痢おう吐等を発症し、うち7名が死亡した事例があり、一部検体からノロウィルスが検出され注目された。

 カキなどのウィルスに汚染された食品を媒介とする食中毒による場合と、患者の便やおう吐物に触れた手を介するなど人から人へ感染する場合と主に2つの感染経路が考えられている。
 高齢者施設で集団感染を引き起こすなど、冬期に流行する感染性胃腸炎の原因となることが多い。
 通常、感染後1日ないし2日で発症し、症状はおう吐や下痢が中心で3日以内で軽快する。感染しても発症しない人も多くいるが、抵抗力の弱い人や乳幼児では重度化する場合もある。
 感染防止のために最も簡便で効果のあるのは手洗いの励行である。外出から帰った時、トイレの後、調理や食事の前、汚物を処理した後などに常に石けんで入念に手を洗うことである。
 また、生食用の食材はよく洗浄すること、加熱調理食品は85度で1分以上加熱し十分火を通すことなど食品の取扱に注意がいる。
 症状のある人の便やおう吐物はまき散らさないよう処置し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒すると効果がある。