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疾病X
19年末から広がり始めた新型コロナも疾病Xの一例だ。野生動物が持つウイルスは数多くあり、これらがヒトを含めて感染拡大していくことで、人類が免疫を持たない感染症はさらに増える可能性がある。
疾病Xを研究する必要があるのはWHOが指摘するように、「横断的な研究開発上の早期準備を可能にするため」だ。対策の必要性を思い知らせたのは、西アフリカで流行した当時エボラ出血熱と呼ばれた病だ。数十年にわたる研究にもかかわらず、危機発生時に活用できる製品がなく、1万1000人以上が命を落とした。しかし疾病Xに備える17年以降の準備が功を奏し、新型コロナを引き起こしたウイルスの遺伝子配列が発表されてからわずか326日で、初のコロナワクチンが認可された。現在、感染症流行対策イノベーション連合などはより早急な対応を可能にするため、100日以内でのワクチン開発を目指している。