社会福祉法人 聖隷福祉事業団  

総合病院聖隷浜松病院


 初日の見学は浜松駅から車で15分の距離にある、社会福祉法人聖隷福祉事業団の運営する総合病院聖隷浜松病院である。当事業団の事業は「保健、医療、福祉、介護サービス」を柱とする総合的ヒューマンサービスを目標とされている。1府8県、145施設(含む7病院)を運営しており職員数は約13,500名(含む非常勤雇用)の巨大な組織である。その中でも聖隷浜松病院はグループ内で一番の高度急性期基幹病院である。

 見学会の冒頭に病院紹介のDVDを10分間ほど視聴した後、服部事務長から事業団・病院の概要や取り組みなどについて説明をいただいた。事業団の基本理念はキリスト教精神に基づく「隣人愛」であり、病院理念は「私たちは利用してくださる方ひとりひとりのために最善を尽くすことに誇りをもつ」である。病院自体は1962年に設立、設立当初より心外・脳外などの急性期医療を指向しており、1977年には未熟児センター設立。全国初の新生児専用救急車を導入、1998年には県下で初、民間で総合周産期母子医療センターの認定を受けている。

病院運営の特徴としては1.多様なセンター機能、2.先端医療、3.チーム医療、4.教育と研修を4つの柱として注力されている。

 病院経営の特徴としては、医療の質と経営の質は病院経営の両輪と考えている。医療の質については常に第三者評価を積極的に活用している。2012年11月17日付けで、JCI(国際的医療機能評価機構)による認証を、関東地区以外では初めて取得した。これにより医療の質は飛躍的に向上したとの説明があった。経営の質についてはかなり以前からBSCを採用しており、「利用者価値」「価値提供行動」「成長と学習」「財務」の4つの視点で取り組んでいる。運用の工夫として各戦略目標「重要成功要因」ごとにオーナー(副院長・院長補佐)、担当次長(事務系)看護次長の3名の担当者を任命し、具体的なアクションプランはオーナーが立案する。アクションプランのPDCAについてもオーナーが中心になって推進するようにしている。

 今後の課題としては、JCI、BSCにより認知的文化は向上したが、満足度、離職率、成果効率等に影響する情緒的文化の醸成にはまだまだ多くの課題解決が必要である。

 医療と経営の質のバランスを保ちながら、第三者の評価を取り入れつつ、常に新しい取り組みに挑戦する姿勢は大変参考になった。



 (倉敷中央病院 医事診療サービス部長 国政準也)