社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部  

福井県済生会病院


 福井県済生会病院は、昭和16年に恩賜財団済生会福井診療所として開設された。済生会創立の原点である「救療済生」の精神を受け継ぎ、「患者さんの立場で考える」を理念に掲げ、保健・医療・福祉を統合した総合医療を実践されている。
 また、病院機能としては23科の診療科目を有し、高度急性期病院として質の高い医療を実践している。また患者を主体とした医療を実現するために、従来の診療科の考え方を大きく転換し、疾患・症状別外来や女性診療センター、顔の見える外来等目的や疾患、不調を感じる部位に応じて診療を受けられるよう新しい枠組みで医療サービスを提供している。

 まず、登谷院長から挨拶いただき、2000年から取り組んでいる経営改革について具体的に説明があった。
 患者本位でニーズに応えるために、全ての職員が患者さんの立場で考え、価値ある医療サービスを提供できるように意識している。このように院長自らが、折に触れ理念に共感する大切さを伝え、理念とバリューに基づき病院が目標とする将来像である3ヵ年ビジョンの実現のため、方向性を語ることで理念の共有が図られている。また、医局でも院長自らが定期的に理念の唱和を行うことで医局員にも病院理念の共有がされており、自然と協力し合う風土が生まれている。
 フラットな組織づくりのための取り組みについて説明があり、院内プロジェクトにて組織横断的な問題解決のために、多職種で集まりワークアウトの手法を使って問題解決を実施している。コミュニケーション研修にも力を注いでおり、ワールドカフェの実施や新人研修にもウエルカムカフェを取り入れ、職員自ら考えて行動できる組織づくりに取り組んでいる。
 見学では、患者サービス機能を集約された患者総合支援フロア(入退院支援センター・検査説明センター、よろず相談外来)や総合サービスカウンター、またレベルの高い医療サービスのための教育設備を備えたラーニングセンターなど、担当者より細かな説明を受けることができた。患者さんに癒しの空間を提供するために健診センターや病院のテラス等、至るところにホスピタルアートが施されていた。

 見学後に、担当課長から以下の5つの基本方針と行動指針について具体的な取り組み事例をもとに紹介があった。
 ①済生の心を実践する病院
 ②地域の一員として信頼される病院
 ③地域医療・がん医療・急性期医療・予防医療をリードする病院
 ④変革してゆく病院
 ⑤ともに学び、活力溢れる病院
 
 これら基本方針から職員の行動レベルまで落とし込み、常に変化に耐えうる組織づくりの一環として、SQM(済生会クオリティマネジメントシステム)を病院全体で取り組んでいる。結果として医療の質の向上に繋がり、ISO9001の取得、日本経営品質賞の受賞やホスピレートの認定等多くの第三者の高い評価を受けている。
 福井県済生会病院では 「病院の差は、中で働く職員の差」であり、働く職員の高い満足度が患者さんに満足していただける医療サービスの提供に繋がると考えられている。多くのワークライフバランスの取り組み、また感動を共有する仕組みとして感激レポート、グッドアイデアレポート等職員から直接意見を取り入れ、それを評価及び褒賞することで職員のモチベーションアップや働きやすい職場として離職率の低下に繋がっている。
 これら多くの職員教育への取り組みや患者及び職員満足度向上への取り組みは非常に参考となった。



 水島中央病院 事務統括部長 馬生康宏




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