• 社会医療法人祐愛会 織田病院
  • 所在地
     佐賀県鹿島市大字高津原4306
    理事長
     織 田 正 道  氏
    院  長
     伊 山 明 宏  氏
    病床数
     111床(一般病床:103、地域包括ケア病床:8) (開放型(病床)病院【登録医50名】)
    関連施設
    祐愛会高島病院 172床(慢性期・介護医療院)
    ゆうあいビレッジ(介護老人保健施設・特定施設・グループホーム・小規模多機能住宅
    ・ヘルパーステーション・デイケア他)
    認知症デイサービス

 祐愛会織田病院は、佐賀県鹿島市の中心部に位置する地域密着型病院である。生産年齢人口の急激な減少と、85歳以上人口の急激な増加が進む中、岡山で起こることが15年早く佐賀県で起こっているとデータで示されていた。織田病院は全国でもいち早く、入退院支援から在宅医療の仕組みづくりに取り組み、成功している病院である。病床稼働率99.3%、平均在院日数11.8日と急性期病院の役割を担い、85歳以上の入院患者の80%以上が在宅へと退院している。この画期的な取り組みをごく一部であるが紹介する。

1.入院中から安心して在宅へ戻すための仕組み
 多職種協働のフラット型チーム入退院支援を行っている。入院時より、ICTを活用し患者情報を一元化・共有化している。チームが迅速に支援を提供するために、膨大な電子カルテの情報から退院支援に必要な情報のみ抽出し、データベースを構築している。このデータベースは独自が開発したものであり、チームが、いつでもどこでも、だれでもが閲覧・入力可能なシステムで効率化を図っている。
2.退院直後のケア継続を図る仕組み
 平均在院日数の短縮に伴い、患者・家族が安心して在宅へ戻れるよう、退院直後の2週間は訪問看護を行っている。連携室には巨大モニターが3基設置されており、医師、MSW、訪問看護師、PT、ヘルパーなどの在宅医療支援チーム(MBC:Medical base camp)が連携し、患者情報をタイムリーに入手し、必要時対応できるようになっている。このような在宅見守りシステムを構築することで、臨機応変で柔軟な対応ができるようになっている。
3.在宅での患者を支える仕組み
 終末期、在宅酸素療法、難病などの在宅患者に、本人や家族の安心を得るため、遠隔診療システムを行っている。ICTを活用した在宅での見守りは、ビデオ通話機能、室温管理、転倒検知、バイタルデータ収集機能、ベッドスキャン(心拍・睡眠・呼吸)等々最新機器を導入し効率を図り、在宅療養の支援機能を果たしている。

 今回祐愛会織田病院で最先端の入退院支援システムを見学することができた。ますます少子高齢化が進む現代社会に、先を見据え、地域における病院の役割が明確化され、地域のニーズに寄り添った改革がなされていることに心を動かされた。とても真似は出来ないけれども、1つでも自施設でできることから挑戦していきたいと考えてる。

(光生病院 看護副院長 中家明美)