医療法人社団和楽仁  

芳珠記念病院


 医療法人社団和楽仁(わらに)芳珠記念病院は、人口約5万人の石川県能美市にある。能美市は石川県の南部、加賀平野のほぼ中央に位置し、金沢市から北西約20kmの距離にあり、南には日本海側の拠点小松空港がある小松市が隣接している。地域包括ケアシステムを担うべく、救急診療から在宅復帰までに対応できる地域包括ケアミックス病院(地域包括ケア病棟を有し、地域包括ケアシステムの構築に参画するケアミックス病院)と名づけ、地域医療の要となっている病院である。

 現在、地域包括ケア病棟はサブアキュート中心の病棟(40床)とポストアキュート中心の病棟(42床)に分けて運営している。地域包括ケア病棟では疾患別リハビリに加え、POC(Point Of Care)リハビリを実施している。作業療法士が病棟に常駐して生活行為に関わり、入院生活を退院後の生活に近づけることで、安心して地域生活に戻ることができるよう支援している。モーニングリハ、イブニングリハと称し、朝食と夕食前後に患者の病室に伺い、生活行為(食事やトイレ、着替え,歯磨き等)の練習を病棟生活の一部として行う。患者のみならず、家族に対しても退院後の介護方法の相談や指導も行っている。

  また、地域内の医療・介護・福祉等各分野のパートナーとの連携を充実させるため、「ほうじゅ連携室」の機能を拡充し、入院から退院、在宅まで利用者の流れを円滑にするPerFM(Person Flow Management)実践している。入院・外来と在宅・施設をつなぐ役割を担う地域包括ケア推進担当看護師を配置し、医師、事務職など他職種協働で患者を支えている。近年では地域内の介護施設や行政機関、ボランティア団体、民間企業など、地域で活動する様々な組織との連携を活発化させている。

 経営・人材育成面においても、北陸先端科学技術大学院の協力を得て、医療機関として初めてMOT(Management of Technology:ITなどを経営の視点・立場からマネージメントすること)を導入し、「病院のありたい姿、なりたい姿」の実現に向け、全員主役のチーム医療を目指した組織改革を推進している。医療と経営の質を絶えず向上させて、顧客の不安を安心に、さらには感動に変えられる病院になることをテーマとしている。
 職員の意識改革を行い、人間力と技術力を向上させるために「四画面思考」というツールを使って具現化させている。「現状の姿(SWOT分析)」「ありたい姿(理想)」「なりたい姿(近未来の姿)」「実践する姿(アクションプラン)」を書き出し、各部門の事業計画に落とし込むほか、個人の行動レベルにまで落とし込んで作成している。さらに「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」の振り返りをし、次の行動を四画面思考を通して見える化するYWT4サイクルを回している。また、職員の人間力を向上させるため、院内キャンパス「和楽仁塾」を立上げ、10ヶ月間のカリキュラムに取り組み、改革完成のため、実践力、行動力、継続力を身につけている。管理職・役職者を対象とした「ほうじゅみらい創造研修会」を年2回開催し、参加者全員で事業計画を作りながら、病院の未来を語り合う研修となっている。
 多職種で改革プロセスを共有し、成果を感じられるプロセスを継続させ、トップダウンでなく、職員参加型の経営を実践している病院である。

 倉敷リバーサイド病院 診療サービス室係長 後藤泉







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