• 三重県厚生農業協同組合連合会
    三重北医療センター いなべ総合病院

  •  いなべ総合病院
  • 所在地
     三重県いなべ市北勢町阿下喜771
    院  長
     相田 直隆 氏
    概 要
    220床(急性期一般入院料1:160床、ハイケアユニット入院医療管理料1:6床、地域包括ケア病棟入院料2:54床)
    人工透析センター、災害拠点病院、臨床研修指定病院等の認可、主要医療機器:手術支援ロボットダ・ヴィンチXi等

 昭和28年10月に三重県厚生連員弁厚生病院として開設。平成14年9月、三重北医療センター いなべ総合病院として現在の地に新築移転し、現在、災害拠点病院・がん診療連携推進病院・基幹型臨床研修病院の指定を受けた急性期中核病院である。JA三重厚生連の理念「医療・保健・福祉活動を通じて、組合員と地域住民の皆さまが、安心して健やかに暮らせる地域づくりに貢献していきます。」および病院運営の理念「地域医療の向上を目指し、質の高い医療を提供します。」、その他5つの基本方針に沿って、安全で質の高い医療を提供し、地域の医療の向上に努めている。いなべ市人口は約4.5万人、三重県北勢医療圏約83.3万人である。年間入院患者数約3,600名、平均在院日数約17日、病床稼働率約75%。施設見学は、病院概要および特に力をいれている臨床研修に関する取り組みの説明後、主に災害拠点病院としての設備を見学した。

 研修実施責任者である副院長先生から「中規模病院で医師数が多くなく救急当直は一人当直であることから、専門外の救急患者を受けざるを得ない環境にある。各分野の専門医が各自の専門の枠を超え救急医療に取り組むため、自ずと総合医としての修練を積むことになり、その意味で、上級医は科の枠を超えた総合診療を常時行っている。臨床研修医にも教育的に診療を共にできる利点がある。毎週木曜日のモーニングカンファでは、研修医が経験した重症例、珍しい症例、教育的な症例等のカンファレンスを実施して症例を掘り下げ、共有をしている」など、臨床研修の概要およびプログラム、力をいれている取り組みの説明があった。

 施設見学では、災害拠点病院としての設備を主に見学した。下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネルを設け、災害時において迅速にトイレ機能を確保する「マンホールトイレ」、施設を節電することで1週間の電力が補える「ディーゼル発電機」、災害時の水道断水対策として、地下井戸の掘削を行い自己水による病院内の水供給体制の整備している。災害時用蛇口を設け、この地下水を災害時に広く地域住民に開放できる。また病院のすぐ横には、いなべ市のヘリポートが併設されており、近隣の山で起こる滑落事故などでヘリポートが利用されている。

 院内は、紙カルテ運用で各診療科別で保管する各科別分散管理方式を採用、病棟では各病棟1名DPCデータ作成に必要な情報を入力する職員を配置し、診療情報管理室で集約する方法をとっている。

 理念、基本方針に沿って、地域の核となる病院として、医師含め医療従事者の育成に力をいれ、いなべ市と協力して災害拠点として機能が整備されている。理念にあるとおり、地域住民が安心して健やかに暮らせる地域づくりが行われていることに触れ、非常に参考になった。

(岡山旭東病院 診療情報管理室室長 海野博資)