• 地方独立行政法人
     佐賀県医療センター 好生館
  • 所在地
     佐賀県佐賀市嘉瀬町中原400番地
    理事長
     樗 木  等  氏
    館  長
     佐 藤 清 治  氏

【概要】
450床(一般:442床、感染症:8床、救命救急センター、地域医療支援病院、臨床研修指定病院等の認可)。長崎に近い立地から鍋島藩が1781年(天明1年)好生館の前身である藩校『弘道館』を設立。佐賀藩医業免札制度の発足(全国に先駆けた科別・医師免許の発行です)、佐賀県立病院好生館を経て地方独立行政法人へ。設立の理念は、「好生の徳は民心にあまねし学問なくして名医になるは覚束なきことなり」である。佐賀市内の中心部に位置し、織田病院から車で約40分に位置している。佐賀市人口は約23万人、佐賀県中部医療圏は約35万人の地域中核病院である。
職員総数1,281人(医師数199人、看護師581名、コメディカル203名、その他298名)。
入院単価91,582円、外来単価23,219円。
院内見学は、研修棟と患者・家族総合支援部を訪問した。

 研修棟は設立の経緯から医師の育成に力を入れており、病院の別棟として設置(6階)している。上層階は宿泊機能を持ち各種シミュレーション機器を導入し、基礎研究もおこなっている。
 ICTの活用では佐賀県診療情報地域連携システム(通称:ピカピカリンク)は開示システムにID-LINKのみを採用し、開示15医療機関の情報が時系列で365医療機関が閲覧している(患者登録数58万人、月間アクセス数は37,000)。最も役立つ情報として診療録の2号用紙を開示しているが、大きなトラブルはない。閲覧権限は医師をはじめとした国家資格の倫理綱領の範囲で個人情報保護に則って運用している。
力を入れている集患活動においては広報機能を強化、紙媒体で9紙、コロナ禍ではケーブルTVに番組を持ち放映(視聴世帯数約8000件)し、従来の対面型の講座開催より一度に多くの発信ができている。医師同行(138軒)・単独訪問(293軒)をマーケティング係が実施している。
 紹介予約の方法ではWEB予約(カルナコネクト)を推進し、電話・FAXが約60%の構成比、患者からが10%だったが直近ではWEBが30から40%に拡大している。紹介率95.3%、逆紹介率146.3%といずれの指標も非常に高く機能分化が進んでいた。
 入退院支援では入院予定患者の94%に対応している(小児科系除く)。加算の算定率は91.5%でGHCのベンチマークでは4/834病院に位置している。DPCの入院期間Ⅱを100%目指してパス活用し、費用計算を行っている。
 コロナ禍では県内唯一の第一種感染症指定医療機関としてコロナ患者受け入れに加え、職員からワクチン接種もやろうと声が上がり対応をおこなった。それは接種率全国1位に寄与した。
 好生館の設立の理念を今も継続し、県内の核となる病院として医療従事者の育成と地域医療の最後の砦として強い信念のもと病院運営がおこなわれている姿に触れ、非常に深い学びとなり今後の病院運営の参考になった。


(倉敷中央病院リバーサイド 事務長 十河浩史)