医療法人社団 輝生会 初台リハビリテーション病院 倉敷リハビリテーション病院
 理学療法士 藤沢美由紀

 平成15年7月25日、病院合同見学の一員として初台リハビリテーション病院を見学
させていただきました。リハビリテーション病院で理学療法士として勤務している私にとって初台リハビリテーション病院はぜひとも自分の目で見てみたい病院でした。
 高知の近森リハビリテーション病院で地域リハビリテーションの基盤を確立された石川誠院長が、東京都心部という大都会を舞台にどのようなリハビリテーション医療を展開されているのか、回復期リハビリテーション病棟研究会等で先生のご活躍の一端を窺うにつけ、その思いは大きく、興味と期待を胸に、初台リハビリテーション病院の玄関に到着したのでした。

 「入ったら病院と思わない建物」がコンセプト、という院長のお言葉通り、院内に入った第一印象は「病院らしくない病院」でした。もし、うっかり迷い込んだとしても誰もそこを病院だとは思わないでしょう。ホテルのロビーのようにゆったりとした空間、グランドピアノ、豪華な生花のアレンジメントなどなど、随所に病院くさくない工夫が施されていました。スタッフのユニホームも白衣は一切ありません。全員半袖シャツにベスト、綿パン、靴はリーガルというカジュアルな装いで、唯一、左袖のワッペンの色で職種を区別するだけです。

 中央エスカレーターで昇った2階は広々としたリハビリテーションセンターと外来診察室でした。病棟訓練をしているセラピストも多いせいかゆったりとした雰囲気で、PT・OTは丁寧な個別対応を実施されていました。パワーリハビリの機器も導入されており、結構活用されているということでした。

 病棟はPPCシステムを採用されており3・4階は中等度ケア、5階は医療依存度の高い重度ケアに区別し、スタッフの人員配置も考慮されていました。7・8階は全室個室となっており、現在準備中の8階を見学させていただきました。さすが都心の8階、目前に立つ都庁舎が見える部屋あり、遠く富士山を眺められる部屋あり、高価な差額ベッドも予約待ちとのことでした。部屋の調度品、食器も一つ一つにこだわりを持ち、高級感あふれるもので、ネット可能な電話、20~30インチの液晶TV、等々充実したサービスは、患者様をお客様という視点で見つめ、個人が住み慣れた自宅や地域で再び輝くにふさわしい環境設定といえるかもしれません。

 また、ソフト面においては、稼動病床数173床に対し、スタッフ総数286名(うちリハビリテーション部121名)という豊富なマンパワーのもとで徹底的なチームアプローチを展開し、電子カルテによる情報の共有化、365日のリハビリテーションサービス、モーニングケア・イブニングケアへのリハスタッフの参加が実施されていました。生活の場である病棟でのリハビリテーションを重視し、在宅復帰につながるサービス提供体制が充実しシステム化されていました。

 今回の病院見学に参加させていただき、百聞は一見に如かずという言葉通り多くの事を肌で感じることができました。全国の回復期リハビリテーション病棟が理想とする形の一つが初台リハビリテーション病院にあったように思います。いろいろと圧倒された事、そこから学ぶべきことが多くありました。私の勤務する倉敷リハビリテーション病院でも、患者様の疾患、年齢、自宅復帰率はほぼ同じ、しかも安全管理の点で転倒・転落・誤嚥といった同じような悩みを抱えていることがわかり、少しほっとしています。変化を続けるリハビリテーション医療の一員として、これからの初台リハビリテーション病院をまた見学させていただけるよう、頑張っていこうと思います。貴重な体験を有難うございました。