平成16年度 県外病院合同見学
 太田熱海病院  リハビリ重点のケアミックス型病院
〔病院概要〕
太田熱海病院 全景
郡山の奥座敷・名湯磐梯熱海温泉街の中にある
所在地 福島県郡山市熱海町
院長 太田 宏 氏
病床数 518床
(一般422床・療養96床)
職員数 593名
診療科目 27科
外来患者数 約428人/日
入 院
患者数
約404人/日

 
 太田熱海病院は、郡山市から約50㎞西に位置する熱海温泉街の中心にある。病院は地域の急性期医療に対応すると共に、介護・医療療養病床、回復期リハビリ病床、特殊疾患病床を有するケアミックス型病院として現在の医療を取り巻く環境の変化に対応している。介護保険への対応としては通所リハビリ、訪問看護ステーション、居宅支援事業所を開設している。

 また、財団法人理念の一つとして「地域内の健康保持増進から福祉まで」を掲げており、グループ内でそれを担う病院として位置づけられている。それに伴う病院の特徴としては、総合病院ではあるが,ベースはリハビリテーションに置いており,脳血管疾患,整形系でそれぞれ1病棟の回復期リハビリ病棟を有し、人員配置においても、PT18人、OT13人、ST4人と多数のセラピストを擁し、リハビリテーションセンターを設立している。内容についてはPT、OTそれぞれ外来、病棟の種類(病期、疾患別)毎にセラピストを配置し、専門性の高いリハビリに対応している。STに関しては、嚥下センターを開設し、言語療法のほか嚥下訓練にも傾注している。

 今後慢性期医療にもリハビリが重要になってくると思われるが、回復期リハビリから慢性期リハビリへの早い時期の取り組みは目を見張るものがあった。現在リハビリ専門医が不在とのことであるが、専門医が確保できればますます中身の濃いリハビリが実施されるものと思われる。地域リハ広域支援センター事業にも直接関わっており、地域内のリハビリテーションにおける地位を確固たるものとしている。

 予防医学では、人間ドックが充実しており、新しく増築した建物の1階部分を専用スペースとし、外来患者とは別にしたフロアーでほとんどの検査が受けられるようになっている。待合いロビーもゆったりと広く、検査設備は充実している。また宿泊ドックは、隣接している太田綜合病院の保養施設でもある温泉ホテルを改装した快適な施設で受けられる。食事は専従の調理人を配置しており、熱海温泉内にある病院としての利点を十二分に生かしている。二次検査等のフォローアップも充実しており、フォローアップが必要な検診者へは、はがきを利用しこまめな案内を実施し、患者の掘り起こしに努めていた。人間ドックの理念・基本方針にある「利用者が満足感を得られるよう、思いやりをこめた気配りの接遇をする」といった病院としての姿勢が感じられた。

 在宅に関しては、地域内の要望を受け入れ訪問看護を中心に実施している。その活動範囲は広域にわたっており、内容もリハビリを重要視しているだけあって、訪問リハおよび訪問診察にも重点を置いている。地域内おける在宅医療の中心的存在となっているように思われる。


 見学後、太田院長が「現在残っている一般病床の今後について,まだ結論が見えないのです」と言われた一言が、急性期後の医療を担う病院の苦悩を現しているように思われた。総合病院とは言え、回復期から慢性期医療に重点おいている太田熱海病院の苦悩は他人事とは思えない。

(倉敷紀念病院 事務長 三宅 謙太郎)