公益財団法人 昭和会
今給黎(いまきいれ)総合病院


所 在 地
鹿児島県鹿児島市下竜尾町4番16号
理 事 長
今給黎 尚典 氏
院   長
昇 卓夫 氏
病 床 数
450床(一般)
診療科目
各種内科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、リハビリテーション科等   計28診療科
関連施設
昭和会クリニック(15診療科)
見学目的
  • 地域で地方の急性期病院を支えている経営の苦労について
  • 鹿児島市立病院の後方病院の役割
  • 理事長、院長のトップとして、また看護部長、事務長、地域連携室長等組織として現場を動かす手法、苦労について
 初日の見学先は、鹿児島中央駅に近い、市中に位置する「今給黎総合病院」である。故今給黎満幸氏が、昭和13年に現在の地で開院されてから地域の中で発展し、隣接地に拡張を繰り返し、現在では450床の病院となった。外来患者の増加に伴って道を挟んだ目の前にクリニックも開設している。imakiire4
しかし、建物の耐震の問題、老朽、狭隘による建物の分散などにより、これ以上の拡張が困難なことから、港近くへの移転または現地建て替えを検討をされていることころである。
 6割が市内、4割が市外からの来院で、九州では長崎に次いで離島が多いため、島嶼部からの受診もある。平均在院日数は18日を切ることを目標としている。救急車は年間2500台を受け入れ、入院診療単価は8年前から約1・5倍に増えている。手術後には、約2週間で隣の120床の連携病院に転院している。imakiire3  「イマキイレミクス 4本の矢」を掲げ、職員のやる気を起こさせ、モチベーションを維持する方策を実践しており、限られた財源の中で実績を上げた職員に還元している。4本の矢とは、①新入院患者数 ②稼働率 ③高エネルギー外傷 ④退院コントロールである。  例えば、医師の実績は毎月評価し、年2回は院長面談を実施。新入院患者数が目標に達した診療科への医師事務補助者の優先配置や、達成・未達成による賞与額の増減を行っている。また、看護師には病床稼働率はもとより、外来からや救急からの入院率、手術室の稼働率などを目標に、達成すれば給与に反映している。imakiire2
 また、手術室の曜日別科別の稼働状況を職員に開示、難易度の高い手術に関しては一部を医師に還元、術式毎の原価計算も行っている。リハビリは、単位数の多いセラピストに対する分配もある。このように、頑張った人が報われる仕組みを作られ、苦労して根付かせているのが印象に残った。imakiire5
 この地域で開業された先代の思いを引き継ぎ、厳しい環境の中で経営的に模索しながらも、新病院建築に向けて職員を一つの方向にまとめようと努力されていることが強く伝わった。病院の歴史から現在の取り組み、経営的な資料に至るまで開示していただき、感謝する。
 
(岡山県済生会 経営企画課長・情報管理課長 太田偉子)