平成23年度 県外病院合同見学

 社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院

所 在 地 岐阜県羽島郡笠松町田代185-1
理 事 長 松波英寿 氏
院  長 山北宜由 氏
病 床 数 432床(開放型病床12床)
診療科目 総合内科、 内科・消化器内科、
呼吸器内科、循環器内科、神経内科、小児科、外科、消化器外科、整形外科他、全22科
見学目的 救急医療体制、医療スタッフ総力で行う数々のチーム医療実践の取り組み等
 
 松波総合病院は、岐阜県を5つのエリアに区分された中でやや西寄りの「岐阜地域」羽島郡笠松町にあり、岐阜医療圏(6市3町、人口80万人、総病床8,000床)の中心的な役割を担っている病院であり、「安全で質の高い医療・福祉を効率的かつ継続的に提供すること」を理念としている。
 松波英一名誉院長は岐阜県病院協会の会長を務めており、「病院の存続は優秀な医師の存在にあり」との高い志を掲げている。また代々岡山とゆかりがあることも紹介いただいた。
   
 設置主体は社会医療法人蘇西厚生会で、松波総合病院のほかまつなみ健康増進クリニック、介護老人保健施設、訪問看護ステーションを運営し、急性期医療から予防医学、福祉施設に至るまで幅広く手掛けている。
 病床数432床で22の診療科目を持ち、職員数972名(うち医師95名、看護師321名他)で構成されており、平成18年4月よりDPC対象病院となっている。
  経営方針の中では早くからBSCを導入し、職員一人ひとりの目標管理から部署の目標管理、そして病院全体の目標を掲げることにより職員のモチベーションを高めている。


 近隣には、500床を超える病院が4病院もある中で、独自性を強調するものとして、「320列型マルチスライスCT装置」や手術支援ロボットの「ダ・ヴィンチ」を導入し他の医療機関との差別化を図っている。
 岐阜医療圏での役割として、救急医療では年間3,000件を超える救急搬送を受け入れている。また産科には4名の医師を配置し24時間対応としており、小児科では3名の常勤医師を配置しているが、夜間は内科医で対応している。また、がん・心筋梗塞・糖尿病・脳梗塞の各疾患では専門医が地域の診療所と連携をとっており、地域医療事業部の3名のスタッフにより地域医療連携の信頼関係を築いている。

 診療方針はチーム医療をモットーとしており、内科医師を中心としたNSTグループでは平成16年6月から活動を開始し、現在23名のメンバーからなる組織を構成している。地域連携の一貫として院外の医師にも参加していただけるような研修会を定期的に開催している。また、日本静脈経腸栄養学会の実地修練認定教育施設としての認定を受けており、NST専門療法士を養成している。それぞれの専門分野では認定看護師も多く配置され、皮膚・排泄ケア認定看護師は、エアマットの適正使用・ポジショニング・医療計画等タイムリーにNSTに介入し平成21年から褥瘡ハイリスク患者ケア加算を算定している。がん性疼痛看護認定看護師は、平成19年9月からコンサルテーション型のチームとして活動を開始し定期的に緩和医療研究会を開催している。呼吸器ケアでは救急看護認定看護師を、感染対策チームには感染管理認定看護師を、そして平成22年12月から糖尿病認定看護師を中心とした糖尿病チーム医療生活支援ラウンドを行っており、チーム医療のスペシャリストを揃えている。
 問題点として、山北宜由院長が、付近に競合する医療機関が多く、急性期医療における機能分担が確立されていないことを挙げ、さらに企画情報部長は、岐阜県の独特の県民性や隣接する愛知県にあるトヨタ自動車の存在も少なからず経営に影響していると述べられた。
 地域医療事業部長による地域連携の信頼向上における情報提供書の返書についての熱弁が自信に満ち溢れていたのが印象的であった。

                     
(旭ヶ丘病院  事務部長 福家寿樹)