株式会社麻生飯塚病院は福岡県の中央部に位置する飯塚市にある。大正7年以来、開設者麻生太吉翁の「郡民のために良医を招き、治療投薬の万全を図らんとする」開設の精神をうけ、一貫して地域医療の向上に努め、筑豊一帯の市民の病院として発展してきた。
 経営理念においては、「―まごころ医療、まごころサービス―」を掲げ、地域のメディカルセンターとして診療活動を行っている。病院全景
 田中二郎院長の「株式会社立として、様々な制限・制約のある中で病院運営しているが、日本一のまごころ病院を目指し、日々精進している」の言葉に代表されるように、様々な先進的な取り組みが行われている。
 病院運営については、年度の事業計画書を作成し、年2回進捗を管理している。また、週1回幹部会を開催し、自由闊達な意見交換を実施している。病院組織については職員の能力が最大限発揮できるように「統括事業本部」「事業部門」「診療フィールド」より構成されている。病院全景

 医療の質改善活動については、1992年7月よりTQM活動を開始し、毎年医療の質とサービスの向上及び経営の改善をテーマに活動している(2012年度の活動テーマは、TQM活動を通して「2012年度事業目標」をより効果的に達成するために、事業計画の柱である“安心とまごころ込めて新棟運営、改善もチーム医療も視野を広げて一歩先へ”)。
 さらにTQM活動の質を高めるために「改善ベルト表彰制度」を導入している。この制度はスタッフ一人ひとりの改善への取り組みに応じてポイントを付与し、ポイントに応じた「改善ベルト」というバッジを授与することで、改善活動への貢献度を可視化・表彰するものである。
 海外の医療機関とも積極的に提携を実施している。2009年には、ピッツバーグ大学メディカルセンターと医師の研修指導体制拡充を目指して、研修教育に関する契約を締結している。
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  また、イノベーションの観点から、大学との医工学連携や企業との連携も積極的に実施している。
 地域連携については、1996年にふれあいセンターを開設し、市民病院としての役割を充実させている。具体的取り組みとしては、ふれあい市民講座の開催や病院運営に関して直接地域の方々の意見を聴くことできる住民医療協議会がある。
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 また、ユニークな取り組みとしては地域医療サポーター養成講座がある。地域医療サポーター養成講座は「自分の健康は自分で守る」「医療機関と上手に付き合う」この2つを自ら実践し、周囲の方々にも広めてくれる方を「地域医療サポーター」と定義し、養成している。この取り組みを実施し、夜間救急のコンビニ受診が減少した等の効果があった。
 ハード面の整備においても、外来スペースの拡張を行い患者サービスの充実を図り、地域の医療ニーズに応えることを目指し、2011年より新棟建設をスタートとさせている。

(倉敷リバーサイド病院 事務長 山下伸治)

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