頴田病院は、飯塚市にあり、福岡県のほぼ中央に位置し、共に筑豊三都に挙げられる隣接の直方市、田川市他周辺人口約40万人の医療圏の中にある。平成20年飯塚市から経営移譲を受け、市立病院から医療法人博愛会頴田病院として再スタートしている。病院全景

  訪問は、市立病院として築後約50年を経過していた病院本館を全面建て替えし、本年4月に全館開業オープンしたばかりの慌ただしさの残る時期であった。まだ新築独特の香りの漂う5階のホールに案内され、本田院長から病院の概要を説明して頂いた。「決して写真だけが、暗いわけではありませんでした」と、さらりと改築前の市立病院時代の少し古い全景を示す一枚の写真から始まった。赤字経営の続く市立病院からの移譲、新病院の計画、平成23年人工透析センターの開設、平成24年全面オープンと本田院長はじめスタッフ皆様のご苦労は容易に想像できた。
病院全景
  新病院は、1階に外来と家庭医療センター、2階に回復期リハビリテーション病棟28床、3階に亜急性期病床10床を含む一般病棟32床、4階に療養病棟36床、5階に管理部門やオール電化の厨房(栄養科)、別棟に人工透析センター43床の構成になっている。1階の外来は、中心部に処置室、点滴室、スタッフステーションがあり、周囲に診察室を置き、若干の運用の違いはあるようだが基本的に2から3の診察室を一人の医師、診療科が受け持つスタイルになっている。院内は廊下、通路等に上手に曲線を取り入れて独特の景観をみせている。病院全景

  頴田病院の基本的な考え方として、専門外来は地域の要望として一部は残しつつ総合医が外来を診ること、入院も地域に必要な療養病床は残しつつ在宅復帰を強固に支援すること、訪問看護、訪問リハビリを含め頴田病院の家庭医が地域の宅直医を務め、在宅医療を推進することである。また予防から在宅までを家庭医と総合医が担い、飯塚市の在宅医療を普及促進する拠点病院機能を確立させ、中小規模の民間病院の転換モデル構築することや、家庭医療プログラムの一環として、米国ピッツバーグ大学から家庭医療の指導医を定期的に招き、家庭医療における若手医師の教育にも取り組んでいる。
病院全景
  本田院長は、家族がひとりの患者を家で診るとどんな問題が起こるのか、それを支える家族が幸せになるにはどう支援すればよいか、幸せは何なのかを常に考えていると話され、もう一枚在宅で医師、看護師、セラピスト等と患者さんとご家族が笑顔の記念写真を見せられた。「私たちの目指す家庭医によるケアミックス病院は、急性期病院を退院した患者さんを受け入れる後方病院ではない、私たちの病院こそが地域医療と患者さんの最前線にいるのだと職員にもそう伝え続けています。それを象徴する一枚がこの写真なんです」と熱く語られた。

(落合病院 企画課長 中田 行)

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